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【対談】水石亜飛夢×近藤啓介監督 ー ダサい過去が映画を深くする

近藤啓介
水石亜飛夢

水石亜飛夢が、いま一番会いたい監督と対談する「トーク・ザ・シネマ」。第3回は『食べられる男』がDOKUSO映画館で配信中の近藤啓介監督。水石さんが出演した『ウーマンウーマンウーマン』の話から、近藤監督が思う本当にダサい人トークも飛び出して…。

水石亜飛夢
2012年ミュージカル「テニスの王子様2nd」にて俳優デビュー。
2014年TVシリーズ「牙狼~魔戒の花~」にて準主役に抜擢される。
2017年映画「鋼の錬金術師」にてアルフォンス・エルリックの声を演じ全国的に注目される。ドラマ「あなたの番です。」ドラマ「相棒17」、映画「青夏」映画「センセイ君主」など話題作に出演。
2020年3月よりテレビ朝日系列「魔進戦隊キラメイジャー」押切時雨役/キラメイブルーにて出演中。

近藤啓介 監督
1993年大阪府生まれ。
大阪芸術大学芸術学部映像学科出身。在学時に制作した共同監督作品「小村は何故、真顔で涙を流したのか?」が第17回京都国際学生映画祭長編部門にてグランプリを受賞。
長編映画作品「食べられる男」(2016年)ではドイツニッポンコネクション審査員特別賞を受賞。また短編映画「ウーマンウーマン」が第12回田辺・弁慶映画祭、下北沢映画祭にて観客賞を受賞。それを長編化した最新作「ウーマンウーマンウーマン」(2019年)がテアトル新宿にて上映。
リアルな質感の会話劇を、独特のテンポと絶妙な台詞で他にはないコメディに仕上げるのが得意。自身の武器と自負する「発想力」で、見ている者を青春時代に引き戻す。

※本対談はリモートにて実施されました。

『ウーマンウーマンウーマン』の撮影から2年が過ぎ…

水石

近藤監督、本日はよろしくお願いします。『ウーマンウーマンウーマン』では本当にありがとうございました。

近藤

こちらこそよろしくお願いします。なつかしいですね。あの撮影も2年くらい前ですかね。

水石

まだヒーローをやらせていただく前なので、そうですね。でもまだまだ修行中です。笑

近藤

あの時を振り返ってみてどうですか?

水石

3人の先輩と一緒に温泉旅行に行く後輩の役でしたけど、終盤でとても大きな役割を果たす男で、本当に楽しかったです。

近藤

あの役をやって演技の感覚に変化はありました?

水石

水石亜飛夢が水石亜飛夢の役をやることもあって、こんなにも自由に遊ぶように演じていいんだって思いました。役作りはもちろん大事ですけど、肩肘張って作り込んだり準備しすぎない方が面白くなることがあるんだなって。

近藤

とは言いつつも、セリフはしっかり覚えてきてくれましたよね。

水石

心配性なので。笑
酔っぱらいながら長台詞を最後にバーンと言うシーンもありましたし、絶対失敗するわけにはいかないと必死でした。

近藤

現場ではスラスラ話していたから、すごいなって。いま、もう一度あの役をやるとなったらどうですか?

水石

もっとやれると思います!
というのも、ヒーローの現場では最年長でして、自分で言うのも変ですが、少し大人っぽくなれたと言いますか。

近藤

亜飛夢の年齢でまわりの役者が全員年下なんてこと、あまり無いよね。
とてもいい経験になったのでは。

水石

そうですね。いい経験になりましたし、先輩って大変なんだなと気づけました。先輩にもいろんな事情があるってことを踏まえて、そこに食い込める後輩を演じられると思います。

レビドラマ「直ちゃんは小学三年生」に出たかった…

水石

監督は、テレビドラマ『直ちゃんは小学三年生』が絶賛放送中ですね。

近藤

ありがとうございます。ドラマで初めてオリジナルで全話監督した自信作です。

水石

大人が本気で小学三年生を演じるって、一体何がどうなっているんですか?

近藤

まさしく大真面目に小学三年生の話をやり続けてます。普通の大人同士のコメディのシーンは作っていなくて、小学生がただただ水筒で水を飲んで、公園で遊んで、ランドセルを置きに帰って…という。そもそもふざけているので、そこにおふざけを足してないですね。

水石

大人の俳優がキャップかぶって走り回る。それだけで面白いですもんね。

近藤

意外とほっこりして感動できるストーリーになっているので、ぜひ多くの人に見てほしいですね。

水石

もう撮影は終わっているとお聞きしましたが、叶うことなら僕もご一緒させてもらいたかったです。

近藤

えっ!? いやいや亜飛夢、戦隊ヒーローですごく忙しかったでしょ。笑

水石

実はおかげさまで忙しく過ごしていたのですが、でもやっぱり近藤監督の作品に出たかったです。

近藤

ありがとうございます。うれしいです。でもドラマもいいですけど、やっぱり映画が撮りたいですね。

石亜飛夢、コメディに挑戦したい

近藤

亜飛夢は何か挑戦したい役はあるんですか?

水石

おふざけする役をやってみたいですね。この一年、ヒーローを演じて何を培ったのかと思った時に、テレビの前のちびっこたちに伝える、届ける力だと。むずかしい言葉がわからないですからね。その伝えよう、届けようとする延長として、笑ってほしい、笑わせたいって思いがあります。

近藤

いいですね。笑わせるって目的が明確ですよね。感動させたいだと、ちょっとわからないというか。

水石

感動もいいエネルギーになると思うんですけど、やっぱり「ああ良かった」で落ち着いちゃうと言いますか。でも笑いはいろんな発散になるはずだと。

近藤

主演がしたいですか? ちょっと脇くらいの方がコメディって楽しかったりするんですけど。

水石

主演じゃない方がもっと大きくかませられるかもしれないですね。

近藤

一回見てみたいかも。亜飛夢はいつもは振り回される側だけど、振り回す側の、新しい亜飛夢を。

水石

ぜひやってみたいです。

分が本当にダサい高校生活を過ごしたからこそ…

水石

監督は別のインタビューで、過去の自分のダサい経験や、マイノリティであったところを表現に加えているとお話されていました。ご自身のこと以外でも、誰かのダサい行動などを覚えていたり、メモしたりするのでしょうか?

近藤

あえて目ざとく見つけようとはしていないですけど、僕はひねくれているので、悔しかったことや、嫉妬したことを覚えているんだと思います。

水石

なるほどです。それらを映画にして昇華させているのでしょうか?

近藤

自分で言うのもなんですけど、本当にダサい高校生活を送ってきたので、ダサい童貞を描く青春映画はすごく冷めちゃうんですよね。

水石

モテない男子が必死にもがくみたいな?

近藤

そうですね。もがくのはダサくない奴なんです。例えばですけどそういう作品に出てくるモテたい童貞男子は「セックスしたい!」とか叫ぶじゃないでうか。でも、僕はそれさえも言えてないですから。本当にダサい奴って、自分の中でめちゃくちゃかっこつけてるんですよ。だからセックスしたいなんて言わない。言うやつはまだいい、言わない奴こそが一番ダサいんですよね。

水石

うわー! 言われてみれば確かに。

近藤

部活をサボってカラオケとかバッティングセンターでたむろしてるなんて、まだイケてる方ですよ。

水石

放課後を無駄に過ごすなんて、むしろかっこいいですね。

近藤

そう。僕は試合に一回も出られないのにずっとバスケやってましたからね。試合なんか出られないし、出るつもりもないのに毎日練習しているという。一番無駄な時間を過ごしてましたから。

水石

でもそれがいま、映画やドラマに活きているって、わからないものですね。

近藤

そうですね。引き出しになっていて、映画のディティールを彩るものとなっています。

後の目標について

水石

監督の近いうちの目標はどんなものがありますか?

近藤

今の目標は、1本ちゃんとした長編映画を撮って、代表作を作ることですね。それと同時に、短編もたくさん作ってそれをDVDに入れて毎年出していきたいと思っています。

水石

お笑いコンビのコント集のような?

近藤

そうそう。短編の映像を入れて出す。

水石

ネット配信ではなくて、あえてDVD、円盤として出すところにも面白さがありますね。

近藤

作品の中だけが面白いのではなくて、それを作ったこと自体が面白いとか、その目的も忘れないようにしています。「僕の映画を見てください。靴、舐めますんで。」という上映イベントも、20代からやりはじめて、それが40歳、50歳になってもやっていたら面白いと思って、やり始めましたから。

水石

すごく素敵だと思います。「直ちゃん」じゃないですけど、少年の心を忘れないってことですね。監督、本日はありがとうございました。

©2016 taberareruotoko

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