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高柳明音「人がひたすら死んじゃうお話?と少し不安になりました」『レオン 完全版』

高柳明音
坪井篤史

高柳明音さんが、シネマスコーレ副支配人の坪井篤史さんを師匠にお迎えし、映画マスターを目指します。第10回は、リュック・ベッソン監督の名作『レオン 完全版』です。ナタリー・ポートマンのデビューでもある本作を、高柳さんと坪井さんが楽しく語り合います。

©1994 GAUMONT

『レオン 完全版 / オリジナル版 4K UHD+Blu-ray(4枚組)』
¥10,780
発売・販売元 / TCエンタテインメント
©1994 GAUMONT

あらすじ
無口で孤独な殺し屋・レオンの元に、家族を惨殺された少女マチルダが助けを求めてやってくる。戸惑いながらもマチルダに救いの手を差し出すレオン。そこから二人の奇妙な共同生活が始まった。弟の仇を討ちたいというマチルダに仕方なく殺しのテクニックを教えるレオンと、読み書きもできないレオンに文字を教えるマチルダ。やがて二人の間には父娘ともつかない愛情が芽生えていくが…。

坪井篤史

発言今回は多くの映画ファンに愛されている名作『レオン 完全版』(以下、『レオン』)を観ていただきました。ニューヨークを舞台にした、無口で孤独な殺し屋・レオンと、家族を惨殺された少女・マチルダとの共同生活、復讐、父娘ともつかない愛情が芽生えていく様を描いた一本です。様々な映画はもちろん、ファッションやカルチャーにも影響を与えている本作ですが、ご覧になっていかがでしたか?

高柳明音

すごく面白かったです! 毎回、坪井さんのオススメなので絶対にハズレはないと思っていますが、今回も素晴らしかったです。実は冒頭の5分くらいは痛いシーンが続いていたので、人がひたすら死んじゃうお話?とちょっと不安になりました。(笑) でもナタリー・ポートマンさん演じるマチルダが登場してから物語の色が一気に変わりますよね。

坪井篤史

たしかに冒頭はレオンが殺し屋であることを描くために、ちょっと生々しいシーンが続きますね。そこにマチルダが登場し、映画も、そしてレオンも変わっていく。

©1994 GAUMONT

高柳明音

誰もが言うと思いますが、マチルダがめちゃくちゃ可愛かったです。作中で自分は18歳と嘘をつくけど本当はすごく若い、むしろ幼いことにびっくりしました。気になって調べたら当時13歳で、しかもこれがデビュー作だなんて…。私は海外の俳優さんの名前を覚えるのが苦手なんですけど、ナタリー・ポートマンさんは知っていました。でもこんなに子役の時から俳優をされていたんですね!

坪井篤史

そうなんです。驚きますよね。もし『レオン』がなかったら、今の彼女はいなかったかもしれません。監督のリュック・ベッソンのおかげもあると思いますが、彼女の魅力はとても13歳とは思えないですよね。

高柳明音

等身大の演技をすることだってすごく難しいことなのに、それこそ中身はもう、成人女性と言っても過言ではないというか、可愛さと妖艶さがあって。むしろ13歳の女の子が垣間見える瞬間の方が不思議に見えるほどでした。

坪井篤史

そんなマチルダに助けを求められたら、最初は関わらないようにしていたレオンも思わず手を差し伸べちゃいますよね。そこで忘れてはいけないのが、マチルダの家族を惨殺する極悪人こと、ゲイリー・オールドマン演じる麻薬取締官・スタンです。この連載が始まってから一番の悪役と言えますが、どんな印象を受けましたか?

高柳明音

悪い人なのはもちろんなんですけど、麻薬?のカプセルを口に入れた瞬間の顔が…。表現の仕方っていろいろあると思いますけど、あんな怖くて気持ち悪くてエグいのは初めてです。

坪井篤史

一瞬で理解できるヤバさですね。スタンは最後の最後まで悪人で、ここまでの悪人がいると映画が締まりますし、際立ちますよね。スタンの味方をするのも変ですが、なぜかこの最悪の男が格好良く見えてしまうほどの魅力がある。当時、スタンのようなエキセントリックな悪役はいなかったですし、そんな悪役をゲイリー・オールドマンのような性格俳優(個性のある人物を演じることを得意とする俳優)が演じたことも衝撃的でした。その後、性格俳優が悪役を演じる時代が来たように思います。マチルダ、スタンとお聞きしてきましたが、孤独で寡黙な殺し屋・レオンはいかがでしたか?

高柳明音

いわゆるイケオジですよね。たまに見せてくれるおちゃめなところも可愛い。マチルダが恋しちゃう気持ちもわかります。でも、何を考えているかわからないし、感情も見えない、ちゃんと好きだと言ってくれないし、自分に自信を持っている女の子じゃないとくじけちゃいそう。マチルダだったからこそ生まれた恋だと思います。

坪井篤史

たしかに。大人の心を持った少女・マチルダと、子どもの心を持った大人・レオン、この設定が上手いですよね。アクション映画でありながら恋愛映画とも言える。このような映画を作ろうとすると、下手に恋愛を描きすぎて観ている人が引いてしまうことが多いんです。結局は色恋かよって。でも、『レオン』はそこに行かないところがいい。駆け引きがギリギリのライン。それが多くのファンに愛される理由とも言えますね。あと数年で公開から30年となる『レオン』、地上波でも放送してくれると良いのですが…。

高柳明音

放送できないんですか!? 確かに未成年に殺しのテクニックを教えるって、教育上は良くないですよね。でもマチルダは殺してはいないですよね?

坪井篤史

ちょっと昔は放送していたんですけどね。殺しのテクニックもですが、一番はマチルダがタバコを吸うシーンがあるからと言われています。実際はキャベツなどを乾燥させて作った無害の偽タバコらしいのですが、見た目にはわからないですからね。でも実にもったいない。

高柳明音

私は今回の機会がなければ出会えてなかったですし、観ることができて本当に良かったです。だからこそ、この連載で観たいと思ってくれる人がいたらいいなって思います。

坪井篤史

そう言ってもらえると、本当にオススメした甲斐がありますし、僕もたくさんの人に観てもらえるとうれしいなって思います。ま、それは毎回なんですけどね。(笑)

高柳明音
たかやなぎあかね|1991年生まれ、愛知県出身。2009年にSKE48の2期生メンバーとしてデビュー。21年4月にグループを卒業し、現在は女優・タレントとして舞台、バラエティ、ラジオなど幅広く活躍中。

坪井篤史
つぼいあつし|1978年、愛知県生まれ。シネマスコーレ副支配人。小3の時に映画と映画館の神様から啓示を受け、死ぬまで映画と映画館で生きると決めたアブナイ人。

今回の記事を含む、ミニシアター限定のフリーマガジン「DOKUSOマガジン」7月号についてはこちら。
⇒DOKUSOマガジン7月号(vol.10)、7月5日発行!表紙・巻頭は磯村勇斗×宇野祥平!


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撮影 / 西村満 スタイリスト / 山川恵未 ヘアメイク / 牧口友紀(TOKYO LOGIC) 文 / 永井勇成

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