“レディースデー発祥の映画館”「シネスイッチ銀座」ー ミヤザキタケルのミニシアターで会いましょうwith花柳のぞみ

ミヤザキタケル
花柳のぞみ

映画アドバイザー・ミヤザキタケルさんが、俳優・花柳のぞみさんと一緒に全国津々浦々のミニシアターを巡り、各劇場の魅力や推しポイントをお届けします。目指すは全国のミニシアター制覇♪

ミヤザキタケル

今回は、レディースデー発祥の映画館「シネスイッチ銀座」へお伺いしました!

日本有数の繁華街であり、大手百貨店や高級ブランド店が無数に立ち並ぶ街・銀座。その中心部、銀座ガス灯通りにある老舗映画館「シネスイッチ銀座」。専ら新宿・渋谷・池袋で映画を観ることが多かった20代前半〜中盤頃の僕にとって、身の丈に合わぬ銀座という街へ訪れることも、その街で映画を観るということも、どこか特別な体験のように感じられたのを今でも鮮明に覚えている。

おそるおそる足を運んだ当時の僕を迎えてくれたのは、売店にある馴染みのあるフード類と、地下にあるカップ式自動販売機。格式高い銀座のイメージとは相反する庶民的なチョイスが絶妙で、嬉しい誤算だった。それ以来、上映前にロビーの椅子に座り、カレーパンと紙コップに入ったリアルゴールドを食すのが、シネスイッチ銀座における僕のルーティンとなった。そんな個人的にも愛着があり、思い入れも深い「シネスイッチ銀座」を今回はご紹介します。

その始まりは1955年。ハリウッドのクラシック作品を専門とした「銀座文化劇場1・2」が誕生。1987年には、2館ある内の1館が選りすぐりの洋画と邦画をスイッチしながら上映する「シネスイッチ銀座」へと生まれ変わり、同劇場の最多動員記録を誇る『ニュー・シネマ・パラダイス』の上映などを通して、ミニシアターブームに大きく貢献。1997年には「シネスイッチ銀座1・2」へとリニューアルし、現在の形へと至る(銀座文化劇場時代には、俳優の片桐はいりさんがアルバイトをしていたとのこと)。劇場の座席数は、地下のシネスイッチ1が271席。3階のシネスイッチ2が182席。ここで注目していただきたいのが、シネスイッチ1には、都内でも数少ない2階席が設けられており、一味違った映画体験を味わうことができるのだ。

また、各階ロビーには、他のミニシアターや大手シネコンを大きく上回る大量のチラシが置かれており、新たな映画と出会うキッカケを生み出している。ロビーにはたくさんの椅子も設置されているため、鑑賞前後の時間を有意義に過ごすことができるだろう。

そして、シネスイッチ銀座を語る上で忘れてはならないのが、“女性に優しい映画館”であるという点だ。銀座という土地柄が所以でもあるのだが、仕事帰りの女性が一人でも足を運びやすいよう、劇場の雰囲気作りから上映作品のラインアップにまで気を遣っている。今では全国各地の映画館で当たり前に存在するレディースデーも、何を隠そう、シネスイッチ銀座こそが発祥の地。

他の映画館とは曜日が異なる金曜日がレディースデーなのだが、支配人曰く、「花の金曜日」という言葉が当たり前に使われていた時代において、金曜日に女性同士で誘い合って来てもらえるようなサービスを、というコンセプトでスタートしたとのこと。それ故、今でも金曜日がレディースデーであり、当時と変わらぬ950円という1000円でお釣りが返ってくるお得な価格設定で映画が楽しめる。金曜日に封切りになる映画が増えた現代においては、Wでお得!!

公式サイトには、これまでシネスイッチ銀座で上映されてきた映画のアーカイブや、訪れたお客様を紹介する「映画美人」のコーナーが掲載されていたりと、コンテンツが充実しているのだが、2017年頃から運用が始まったInstagramの内容がこれまた面白い。アカウントが2つあり、一方はイラストレーターのはまぐり涼子さんが手掛ける手書きの映画紹介アカウント(館内にも展示あり)。もう一方は、映画の前後に食べてほしい銀座の美味しい飲食店を紹介するグルメアカウント。前述したチラシに関しては、あくまでも映画館にいる時間を有意義にするためのものであったが、グルメアカウントを通して、映画の鑑賞前後の時間を有意義にするための提案もしており、映画と一緒に銀座という街も楽しめる行動デザインがなされている。直近でも、UNIQLOとコラボしたトートバッグの販売があったりと、常に話題に事欠かない。ここまで趣向を凝らした映画館、他にあるだろうか。

単に映画を上映するだけではなく、あらゆる角度から映画を楽しんでもらえるよう、様々なアプローチで創意工夫を図っているシネスイッチ銀座。銀座という大人空間を、ハードルが高いと感じる方もいるかもしれませんが、伝統あるレディースデーはどの映画館よりもお得に映画を鑑賞でき、銀座に精通したスタッフが厳選した飲食店を予め知ることができるので安心です。いつもとは一味違った映画体験をしたいのならば、是非一度シネスイッチ銀座へ足を運んでみてください。“女性に優しい映画館”であることは間違いありませんが、総じて見れば、“映画好きに優しい映画館”でもあると思います。それでは、次のミニシアターでまたお会いしましょう♪

花柳のぞみ

ここからは、花柳のぞみが「シネスイッチ銀座」の見逃せないところをご紹介します。題して、

「はなやぎのビビっとポイント!」

館内は滑らかな曲線でピアノの楽譜のような空間デザイン。まるでコンサート会場にいるよう。この劇場にしかない空気を感じる瞬間は、まさに映画体験の醍醐味ですね!

フォントフェチ花柳、すぐに目に留まりました。「只今上映中です お静かに」と書かれた電光掲示板が使われていた当時はどうんな様子だったのかな…?

大理石の中にアンモナイトを探せ...ふふふ。B1にある大理石の壁にはまだ未発見のアンモくんがいるとか!!映画の待ち時間ですらエンターテイメントの一部なのだ...お見事。

記事本文たくさんのお酒!飲みながら映画が観れるんですか?と思ったらノンアルコールでした。コロナが収まるまではノンアルで楽しみましょう♪

ミヤザキタケル

花柳さん、ありがとうございます!

「シネスイッチ銀座」、残念ながらフード類はコロナ禍につきお休みとのことですが、楽しみは先にとっておきましょう!

まだまだ魅力的なところがたくさんあるので、ぜひみなさんも探してみてくださいね。

次回はどんなミニシアターにお会いできるでしょうか。
ぜひお楽しみに♪

ミヤザキタケル
みやざきたける|映画アドバイザー
1986年、長野県生まれ。WOWOW・sweet・PHILE WEBでの連載の他、web・雑誌・ラジオで映画を紹介。イベント出演、映画祭審査員、BRUTUS「30人のシネマコンシェルジェ」など幅広く活動。

花柳のぞみ
はなやぎのぞみ|俳優
1995年、秋田県出身。趣味は、カメラとおさんぽ。 主な出演作に映画『人狼 デスゲームの運営人』メインキャスト・姫菜役、YouTubeドラマ「TORCH」主演・朱音役、TOKYO MX「おじさんが私の恋を応援しています(脳内)」保田紘子役などがある。

記事内写真 / 花柳のぞみ
文 / ミヤザキタケル

※今回の記事を含む、ミニシアター限定のフリーマガジン「DOKUSOマガジン」7月号についてはこちら。
⇒DOKUSOマガジン7月号(vol.10)、7月5日発行!表紙・巻頭は磯村勇斗×宇野祥平!

お近くに配布劇場が無いという方は「DOKUSOマガジン定期購読のご案内」をご覧ください。

ミヤザキ タケル 映画アドバイザー

1986年、長野県生まれ。WOWOW・sweetでの連載の他、web・雑誌・ラジオで映画を紹介。イベント出演、映画祭審査員、BRUTUS「30人のシネマコンシェルジェ」など幅広く活動。

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