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片山萌美が芸術の秋にオススメする映画『鑑定士と顔のない依頼人』

片山萌美

すっかり寒くなってきて、秋から冬になっちゃいますね。せっかくなので冬になる前に、芸術の秋にちなんだ作品をご紹介!

今回は私の好きな映画、
『鑑定士と顔のない依頼人』
です。

©2012 Paco Cinematografica srl.

といってもこの映画、美術品の話、というよりは、鑑定士の恋愛のお話です。

主演はジェフリーラッシュ。『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのバルボッサでおなじみの方です。バルボッサから好きになった方は多いんじゃなかろうか。あちらはワイルドな役でしたが、こちらは少し神経質な鑑定士の役で、また違った魅力がありますよ!

天才的な美術品鑑定士であり、自身も気品に満ちた生き方をするヴァージル。最上の美術品に囲まれる部屋で悦に入ることを楽しみにしているけれど、誕生日を祝ってくれる愛し愛される人はおらず、どことなく哀愁を漂わせる。孤独だが美術品に愛を捧げているので、寂しくはないのかもしれない...。

そんな寂しさある冒頭から一転、競売中のヴァージルはかなりかっこいい!入札する人を素早く見分け、冗談を交えながら値段を跳ね上げていく様子は本当に気持ちがいい。何度観ても「こんな競売にいつか行ってみたいなぁ」なんて思いを馳せてしまいます。

©2012 Paco Cinematografica srl.

その後、クレアという女性から家の物を査定し、競売に出してほしいと電話をもらいます。ヴァージルが訪問しても、クレアは体調が悪いと姿を見せない。何度か訪問しても毎回はぐらかされてしまう。しかしヴァージルはその謎の女性に徐々に惹かれていくのです。

もしかしたら、美術品や絵画を愛する気持ちと同じで、“うちなる神秘性”に惹かれていたのかもしれないですね。

初めて、人(女性)に興味を持ったヴァージルは少しずつ少しずつ狂い始めます。狂うといっても、不思議と自分でも気が付かないうちに信念を変えられていくといったほうがいいかな?

美術品にしか興味のなかった人が恋をするとこうなってしまうのか、これぞ「恋した方が負け」を体現したように変わっていきます。

©2012 Paco Cinematografica srl.

ちなみにもう一人、ロバートという男性が出てきます。ヴァージルがクレアの家で見つけた不思議な部品を組み立て、そして恋愛相談にも乗ってくれるイケメン。
この部品で、何かが出来上がるのですが...。

そしてクレアの家の近くのBAR(カフェ?)にいる女性。彼女は数字に強く、いつも不思議な会話をします。その会話も実は意味があったりします。

なんとなく、どことなく、違和感のあるシーンもあるのですが、そこまで気にもとめない違和感で、観ている私たちを翻弄します。

正直この映画は2回以上観ることをお勧めしたい。ていうか観たくなると思う。
(私は映画館で一度観て、衝撃的すぎてそのあと配信で幾度となく見返しちゃいました)

人は目の前に謎や、不思議なことがあると知りたい欲求が芽生え、そして恋をすると、このように変わっていくのか、というのを約2時間で観られます。
そして、あなたもきっと騙されてしまう。
私はとても心がギュウってなりました。

衝撃のラストのためにぜひ静かな部屋で映画に没頭していただければと思います。
本当に本当に、静かな部屋で。
そうすれば、最後はヴァージルと同じ気持ちになれるはず。

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