注目俳優Power Push!!【細川岳インタビュー】ミニシアターとの出会いと『佐々木、イン、マイマイン』のこと

DOKUSOマガジン編集部

DOKUSOマガジンが注目する俳優をご紹介する本企画。第1回は高校時代の同級生とのエピソードをもとにした『佐々木、イン、マイマイン』で佐々木役・企画・脚本をつとめ、2021年は『愛うつつ』『くもりのち晴れ』と話題作に出演する細川岳さん。ミニシアターとの出会い、映画に対する思いをお聞きました。

細川岳
ほそかわがく|1992年、大阪府出身。主な出演作に『ガンバレとかうるせぇ』、『ヴァニタス』、『君が世界のはじまり』、『ソワレ』などがある。『佐々木、イン、マイマイン』では共同脚本を務めた。

──はじめて足を運んだミニシアターは覚えていますか?

「地元の大阪から上京した19歳のとき、渋谷のユーロスペースですね。よく通ったのは新宿武蔵野館。武蔵野館は上映作品のチョイスが好きです。上京した年に染谷将太さん主演の『ヒミズ』が上映されてて、演技に衝撃を受けたんです。「負けた、悔しい……」って思いました。その後ユーロスペースで「生きてるものはいないのか」を観てめちゃくちゃ面白くて。それからミニシアターに通うようになって、シネコンでは上映されないような自主制作映画も観るようになりました。その当時の自分を救ってくれるような大好きな映画ともたくさん出会いながら、中には退屈を感じてしまう映画も沢山あって、「これなら俺のほうがおもしろい映画を作れる!」と思い21歳のときに長編映画を作りました。でも、退屈だなと思った作品よりもはるかにつまらなかった(笑)」

──実際に映画を作る行動力がすごいです。

「自分に対しても人に対しても、とにかく負けたくないんですよね。納得のいく作品は作れなかったけどいい経験になりましたし、ミニシアターはそれまで知らなかった映画の魅力を教えてくれました。映画館によって上映作品に個性があって、大作ではできないことをやったり、笑いも感動もないけど徹底的にリアリティーを追求したり、なんでもあり。映画には幅があって、自由に作っていいんだって。映画が好きで俳優になりたくて上京したけど、今になって振り返ると何も知らなかったんだなと思います。ミニシアターはいい意味で映画の敷居を下げてくれたし、新しい世界を開いてくれた存在ですね」

──負けたくないとおっしゃいましたが、『佐々木、イン、マイマイン』を観て細川さんに負けたくないと思った関係者も多いのでは?

「どうでしょう……、自分ではなんとも言えないです。ただ、数名の監督から「佐々木の影響で映画を作ろうとする俳優が増えた」と言われました。それは単純に嬉しいです。芝居をする場所がなければ自分で作ればいいし、自分でなんとかするんだって気持ちがないとダメですから。僕も映画を作って何回も失敗してる。同じように失敗する人がたくさんでてくるかもしれません。でもむしろ、失敗するべき。失敗せずにうまくいっても、どこかでつまづくときがくる。それなら自分からどんどんチャレンジして、失敗してもいいときに失敗する。何回も失敗したけど、『佐々木、イン、マイマイン』の脚本は自信があった。これがダメだったらなにをやってもダメ。そういう覚悟を持って作ったから多くの人に届いたのかもしれません」

【WEB版だけのこぼれ話】
記事冒頭でのお写真、細川さんのスニーカーに見覚えはありませんか?なんと『佐々木、イン、マイマイン』で佐々木が履いていたモデルです。「撮影時に気に入って、買っちゃいました」と教えてくださいました。

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『佐々木、イン、マイマイン』作品情報

©「佐々木、イン、マイマイン」

『佐々木、イン、マイマイン』
監督 / 内山拓也 脚本 / 内山拓也、細川岳 出演 / 藤原季節、細川岳、萩原みのり、遊屋慎太郎、森優作 他
©「佐々木、イン、マイマイン」

(撮影・文:大川竜弥)

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